アクリルガッシュを使って工作や美術の授業をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
当時からそのまま持っているけど、一度も使わず引き出しの中に眠らせている...なんてもったいない!
アクリルガッシュは発色が良く、いろいろな素材に塗ることが出来る上に安価というコスパの高い画材なのです。
アクリルガッシュとポスターカラーとアクリル絵具。
名前が違うだけで同じ物だと思っている方が多いのではないでしょうか?
使用感も似ているので、その違いはわかりにくいかも知れません。
しかしこれらは、似て非なる特性を持った絵具なのです。
1955年頃誕生したアクリル絵具。
少しのツヤと透明性があり高発色。様々な素材に塗ることができます。
乾燥した後は耐水性もあるので屋外でも使用できます。
しかし、その特徴であるツヤ感が色によってマチマチであったことからデザイナー達には浸透せず、敬遠されていました。
そこで主流とされていたのがポスターカラー。
およそ同じくらいの時期に誕生した水溶性の不透明水彩です。
1970年代頃から広告業界などデザイナー達の間で、その発色の良さやベタ面を均一に塗れるという利便性から愛用されていました。ポスターカラーで塗ったベタ面はマットな質感が美しく、作品作りに大きく貢献していました。
アクリル絵具と似てるようですが、顔料を定着させる糊が水溶性なので乾燥をさせても耐水性に難があり、プラスチックなどを塗るのには向いていません。
そこで新たに開発され、1982年に誕生したのがアクリルガッシュです。
アクリル絵具の高発色さには少し及ばない物の、ポスターカラーに近い発色と不透明さを出すことに成功!
塗る相手を選ばないという使い勝手の良さから、デザイナーはもちろん、アニメーター達はアニメのセル画に使ったり、プロ以外にも趣味で絵を描く人達や子供達にまで受け入れられました。
まさにアクリル絵具とポスターカラーのいいとこ取りといった絵具がアクリルガッシュなのです。
また、乾燥するのが早く、ドライヤーを使えば表面だけなら1分くらいで乾くので作業を進めやすいのも魅力的です。
アクリルガッシュは塗る相手を選ばないことや耐水性があることから、様々なところで使われています。中にはネイルアートに使っている人も居ますし、キャンバスに描く人も居ます。それ以外にも、簡単なペインティングなどに持って来いです!
様々な材質に塗ることが出来ると紹介しているアクリルガッシュですが、実はツルツルしたもの相手はちょっと苦手。塗れるには塗れるのですがポロポロ剥がれてきてしまいます。選ぶポイントとしては、塗る相手が水分を吸い込んでくれやすいか、と言う点です。
例えば布であれば水分をよく吸いますよね。これはアクリルガッシュで塗れます。
石も水を掛けると染み込んでいきますよね。これもアクリルガッシュで塗れます。
ガラスは水を弾きますね。これはアクリルガッシュだとポロポロ剥がれてしまいます。
こんな感じで見極めてください!意外とわかりやすいでしょ?
塗るって言っても筆とか色々あるし...何で塗ればいいの?と腕を組む前に手持ちの画筆を机に置いてみてください。
はい、それでOK塗ってください!!!
そうです。アクリルガッシュは塗る相手をほとんど選ばないし、塗る筆の毛質も選ばないのでガンガン塗っていきましょう。
ただ、不透明で均一なベタ塗りに適した画材なので、広い面は平筆と呼ばれる平たいブラシのような筆、線の部分は面相筆と呼ばれる先の細くなった筆がお勧めです。
先程筆の話をしましたが、塗る面の大きさに応じて平筆のサイズを変えるとムラが出来にくいです。
塗る前の下描きをよく見て選べば間違いないでしょう。
あとは絵の具に混ぜる水分量を均一にすること。
アクリルガッシュはほんの少し水を混ぜるだけで伸びるので、筆に水をちょこっとつけるだけで大丈夫です。あまり塗り心地が良くない...と思ったらもう少し水を混ぜても良いのですが、一定量を守って下さいね。ムラができるとやはり画面映えしないものです。
あとは筆運びです。
筆運びというとなんだか難しそうに聞こえますが、縦に塗ったら縦方向にだけ塗る、横に塗ったら横方向にだけ塗る、というように一方向へ塗ることを心掛けてください。
絵の具の量もあまりにも絵の具が多くなるとヒビが入ったりしかねませんし、薄すぎてもせっかくベタ塗りが綺麗な画材なのになんちゃって水彩絵の具のようになってしまいます。
しっかり塗った後はお片付けですね。乾かしている間にパレットや筆を洗ってしまいましょう!
え~ちょっと集中して疲れたから後ででいいよ~って気持ちもわかる!とてもわかる!!
でも、最初に言ったことを思い出してください...。
...そうです。アクリルガッシュは乾くと耐水性になるのです。
つまり、パレットや筆をアクリルガッシュがついたままにして放置しておくと水に溶けません。
もうおわかりですね、落ちなくなります。ガチガチに固まります。
ちなみに私はこれで筆を何本ダメにして、何枚のパレットを無駄にしたことか...。
とにかく、まだアクリルガッシュが乾かないうちに洗いましょう。筆やパレットが使いものにならなくなってしまいますよ。
でも、ズボラと言われてもいい!今すぐ洗いたくない!と言う私のようなタイプにおすすめなのが、陶器のお皿をパレットにすること。使わなくなった物や、お安い物で大丈夫です。固まり始めたアクリルガッシュでも水に浸してしばらく放置すれば、指で擦ると簡単にぺローンと剥けるように取れます。
ちなみに筆についたアクリルガッシュをズボラする方法はありませんので、すぐ洗いましょう。本当にガチガチになって後悔しますよ。経験者が言うんだから間違いありません。
アクリルガッシュは扱いやすい画材です。色々なものにかける喜びを趣味として、お子さんとの楽しい工作として感じてみて欲しいです。思い通りにかけなくたって、不透明になるので上から重ねてしまえばいいし、気軽な気持ちでトライしてみて下さい!
ひとつ作ると、次はもっといい物を作ろう!と言う気持ちになりますし、コツが掴めてくるともっと楽しくなっていきますよ!
便利な絵具、アクリルガッシュをぜひお試しあれ!